エスプレッソを入れるにはエスプレッソ・マシンが必要です。
ここでは、更に美味しいいれ方を自分で工夫する際に参考となる、エスプレッソ抽出における7のチェック・ポイントについて説明します。
【抽出量の調節】
エスプレッソで一番ありがちな失敗は、理想的な抽出量を超えてしまうことです。過抽出のエスプレッソは、お茶の出がらしのようなもので、雑味成分が多く、美味しくありません。理想的な抽出量は器具や豆の種類等により異なりますが、一般的には一杯分が30cc〜60ccです。もしこれよりも大量に抽出されているのであれば、今度は早めに抽出を終えてみましょう。
直火式の器具の場合、まだ下部にお湯が残っていても構わないので、少し早めに火から降ろしてみましょう。マシンの場合は、少し早めにスイッチを操作して抽出を止めてみましょう。但し、最初の一滴が一番美味しいという訳ではありません。気になる人は5秒ごとに別のカップに受けてみて味の違いを比べてみても構いませんが、科学の実験にハマってコーヒーを楽しむという本来の目的が見失われてしまわないよう、ほどほどに。
【圧力の調節】
コーヒー豆の粉をフィルターに詰め込む(タンピング)際に何kg重の圧力で押せばよいかは、器具により、また豆の細かさ(挽き加減)により変わるので、一概には言えませんが、直火式器具の場合は比較的軽く、ポンプ式マシンの場合は比較的強く詰め込みます。
詰め込み方が弱すぎると、圧力のかかったお湯は、豆の旨味成分を溶かす間もなく、豆の粉と粉の間を通って外へ出ていってしまうので、美味しくありません。逆に、詰め込み方が強すぎると、お湯が全く通り抜けることができなかったり、あるいは比較的詰め込み方の弱い部分を探してそこから一気に外へ出ていってしまうかもしれません。お湯が豆の粉全体を通り抜けていくためには、適度の力で均一に詰め込む必要があります。抽出具合(早すぎないか、遅すぎないか)も参考にしつつ適度の圧力を探して下さい。
【豆分量の調節】
一般的に、豆の量が少な過ぎると、より早い段階で過抽出になってしまいます。その一方で、豆の量が多過ぎても、豆の粉がお湯を吸って膨らむ余地がなくなり(ドリップコーヒーでも「蒸らし」の作業が大切なように)豆の旨味成分が十分に溶け出なかったり、あるいは詰め込み方が強すぎる場合と同じような不都合が生じます。家庭では、美味しくしようと奮発してつい豆の量が多過ぎになりがちなので注意して下さい。フィルターに豆を詰めて器具・マシンに取り付け、一度外してみて下さい。粉の表面に上部部品の跡形がついていたり、上部部品に粉が付いているようであれば、空間の余裕がない証拠です。お湯を通したときに粉が膨らむ余裕がないと、うまく抽出できないことがあります。
【豆の挽き具合の調節】
直火式の器具や蒸気式のマシンには細挽きの豆を、ポンプ式のマシンには極細挽きの豆を使いますが、個々の器具やマシンによって最適の挽き具合は異なります。家庭に豆挽き器がある場合は、同じ豆でも異なる挽き具合のものを飲み比べてみましょう。店で挽いた豆を買ってくる場合は、同じ豆を異なる挽き具合で買ってみるか、次回に異なる挽き具合のものを買えるよう、その店での挽き具合の設定を店員に聞いておくとよいでしょう。ポンプ式マシンの場合、はちみつが細く垂れる速度で抽出されるのがよいとよく言われます。余りにも出方が速すぎる場合や遅すぎる場合は、豆の圧力(詰め込み具合)と豆の挽き具合の双方を変えて試してみましょう。
家庭の豆挽き器、特に手動式のミルやブレード式(プロペラ状の刃が回転する方式の)グラインダーでは、エスプレッソに適した細かさに挽けないものがあります。
一番細挽きにしても納得のいく仕上がりにならない場合は、コーヒー豆の専門店やエスプレッソのチェーン店で豆を買い、お使いの器具・マシンに合わせて挽いてもらってみて下さい。それにくらべて自宅で挽いた豆が粗すぎるのであれば、店で挽いてもらうか新しい豆挽き器の購入を検討することをお勧めします。
【豆の煎り具合の調節】
同じ豆でも浅煎りだと酸味が、深煎りだと苦みが強調される傾向にありますが、豆の種類によって最適の煎り加減は異なります。
エスプレッソには深煎りの豆を使うのが一般的ですが、深ければ深いほど良いとは限りません。注文に応じて焙煎してくれる店を利用するのであれば、同じ豆を異なる煎り加減で買ってみて飲み比べてみるのも一案です。そうでない場合は、次のチェックポイント「豆の種類」の一環として豆の煎り具合をチェックすることになります。イタリアのメーカーでもラヴァッツァやイリーの豆には比較的酸味があり、
シアトル系チェーン店の味に親しんでいる人の中には驚く人がいるかもしれません。煎り具合も含めて好みの豆を探してください。
【器具のコンディション調節】
試しに、器具・マシンに豆を詰めずにお湯だけ入れて抽出操作を行ってみてください。コーヒー粉の残滓の混じった薄茶色いお湯が出てきたりしないでしょうか。器具に残留したコーヒー粉は酸化して、次回の抽出の妨げになります。
抽出後には、フィルターを洗うのはもちろん、本体の抽出口もきちんと拭いておきましょう。マシンによってはお湯だけで抽出操作を行うと更に効果的です。特にマシンのワンド(蒸気ノズル)でミルクの泡立てをする人は、濡れ布巾を手元に置いて、泡立てが終わったらすぐに先端を拭いて、空ぶかしして、又拭いて、と繰り返さないと、ミルクが余熱で固まって目詰まりの原因になりますので注意して下さい。永年使っているとマシンの内部にカルシウムが沈着してくることがあり、いわゆるカルキ除去の必要が生じる場合があります。
また機種によってはマシン内にコーヒーが逆流するのでタンパク質除去の必要が生じる場合があります。
しかし、マシンを初めて買ってきて家庭で1日1〜2回使う程度であれば、当面は気にしなくてよいと思います。
【器具の温度調節】
直火式の器具の場合は、抽出時の温度はむしろ高過ぎるくらいですが、カップが冷たいと少量のエスプレッソはすぐに冷めてしまい、濁ったり不味くなったりします。カップは温めておいた方が美味しいです。マシンの場合は90度弱のエスプレッソにとっての適温で抽出することが多いので、なおさらカップを温めておくことが重要です。
更に、フィルターやホルダーが冷たくても抽出温度が下がってしまうので、これも温めておいた方がよい場合があります。プロの場合は、しばらく注文がなかった後は、注文の後の最初の一杯をわざと捨てて2杯目から客に出す店もあるほどです。家庭で楽しむ場合はそこまで厳密な温度管理はいりませんが、少なくとも、放置しておいたフィルターを抽出前に慌てて冷たい水で洗ってそのまま使うよりは、抽出前に湯通しするか蒸気をあてるかして温めた方が無難でしょう。